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アイスコーヒー1,000杯のブースを、どんな仮説で作って、何が起きたか|Food EXPO Kyushu 2026 出展の記録

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DATE : 2026.10.08

2026年10月6日・7日、福岡国際センターで開かれた Food EXPO Kyushu 2026 に出展しました。当日の様子は先日のお知らせに書いたので、この記事では、どんな仮説でブースを作り、実際に何が起きたかをまとめます。

Food EXPO Kyushu 2026 の会場、福岡国際センターの外観
会場の福岡国際センター

1. ブースの役割を決めるまで

福岡に拠点を構えてからご縁ができた福岡商工会議所の皆さんに、「今回の Food EXPO で何か面白いことをやりませんか」と声をかけていただいたのが始まりです。会社として展示会に出るのは、今回が初めてです。先に「出る」と決めて、何をやるかはそのあとで考えました。

私たちは会計事務所です。ブースに「会計のご相談はいかがですか」と並べても、来場するのは食品のバイヤーの皆さんですから、足を止める方はまずいません。一方で、同じ会場に立つ出展者の皆さんは、朝から夕方まで商談が続いてブースを離れられません。

そこで、来場者向けの売り場はやめて、出展者の皆さんのためのブースにしました。今回は商売度外視で、自社の商談の機会を作ることは目的にしていません。

目的は2つです。出展者の皆さんがほっと一息つける場所にすること。そして、バイヤーと出展者の商談が盛り上がるアイテムを配ること。

2. 仮説と、実際に起きたこと

「認知」「アクション」「質を高める」の3段階に分けて、「ここを良くするには、この打ち手が効くのではないか」という仮説を7つ立てました。狙ってそうなったというより、仮説を持ってやってみたら実際にこうなった、という記録です。

目的① 出展者の皆さんが、ほっと一息つける場所にする目的② バイヤーと出展者の商談が盛り上がるアイテムを配る①商談が盛り上がるアイテム→ アイスコーヒー◎認知アクション質を高める②コーヒーパスを各ブースへ配りに行く○③大きめの蓋付きカップ持ち歩いて広まる○④立ち寄りやすい場所気楽に入りやすい空間◎⑤カフェのトンマナ自社の紹介は最小限に○⑥声のかけ方を変える回数と話した内容の記録△⑦役に立つノベルティ取引先の持ち寄り◎目的②のとおりバイヤーの方にも渡すと、出展者の商談がゆっくりに◎ 非常に効果があった○ 効果があった△ 想定が一部外れた
目的と7つの仮説、結果。
目的① 出展者の皆さんが、   ほっと一息つける場所にする目的② バイヤーと出展者の商談が   盛り上がるアイテムを配る①商談が盛り上がるアイテム→ アイスコーヒー◎認知②コーヒーパスを各ブースへ配りに行く○③大きめの蓋付きカップ持ち歩いて広まる○アクション④立ち寄りやすい場所気楽に入りやすい空間◎⑤カフェのトンマナ自社の紹介は最小限に○質を高める⑥声のかけ方を変える回数と話した内容の記録△⑦役に立つノベルティ取引先の持ち寄り◎目的②のとおりバイヤーの方にも渡すと、出展者の商談がゆっくりに◎ 非常に効果があった○ 効果があった△ 想定が一部外れた
目的と7つの仮説、結果。

何を出すか

① 商談が盛り上がるアイテム → アイスコーヒー

バイヤーと出展者が手に持って話せるもので、出展者のご商売と重ならないもの。コーヒーを扱う出展者はいなかったので、氷で冷やすだけで出せるアイスコーヒーにしました。

実際は ◎ 非常に効果があった
読みは400杯、実際は2.5倍の約1,000杯。すぐにお渡しできることと、思った以上の会場の熱気で、アイスコーヒーがぴったりはまりました。お菓子の出展者も多く、商材を引き立てる役目も果たせました。出展者の方からは「バイヤーさんがコーヒーを持ってブースに来てくれたので、ゆっくり商談ができた」という声もいただいています。

認知:知ってもらう

② 「コーヒーパス」を配りに行く

場所を知ってもらうと同時に、最初のご挨拶になればと考えました。開催1日目の朝に全ブースを回り、社名とブース番号を入れたパスを手渡しました。

コーヒーパスの表面(見本)
コーヒーパスの表面(見本)。1ブースずつ社名・番号・QRを変えて、1社に3枚ほど。
コーヒーパスの裏面。ご利用案内と、J-01 への会場内の地図
裏面は会場内の地図です。
実際は ○ 効果があった
1日目の午前中から行列ができるほど、認知は広がりました。一方で、全部のブースは回りきれず、ブースの全員に伝えることも、「1枚で何杯でも」という説明もしきれませんでした。

③ 大きめの蓋付き8オンスカップ

コンビニコーヒーのMサイズくらいの大きさにして、飲み終わるまで持ち歩いてもらい、その人自身が広告になればと考えました。

実際は ○ 効果があった
「それ、どこで?」「あそこでもらえますよ」という会話が、隣同士のブースやブースの中で実際に起きました。カップを持って歩く方がそのまま案内役になり、パスとカップで認知が一気に広がりました。

アクション:立ち寄ってもらう

④ 立ち寄りやすい場所、気楽に入りやすい空間

二方向が開いた、会場の奥の角をお願いしました。テーブルは前に出さず奥に置き、通路から中へ入ってもらうL字にしました。

通路通路テーブルは奥コーヒー
ブースの配置。入口側の人通りより、出展者の皆さんが立ち寄りやすい奥の角を選びました。
実際は ◎ 非常に効果があった
どちらの通路からも入りやすく、列ができたときも、他のブースの前を塞がずに渡せました。

⑤ カフェのトンマナで、自社の紹介は最小限に

Tシャツ、カーペット、テーブルクロス、ライトまでカフェの色味にそろえました。話し方はバリスタの世間話で、自社の紹介は聞かれたときと、興味を持っていただけそうなときだけにしました。

実際は ○ 効果があった
「コーヒー屋さんですか」「どこの豆ですか」から「実は会計事務所なんです」へ自然に会話が始まりました。試食と違って、何度でも気兼ねなくコーヒーを取りに来られる空気を作ることができました。

質を高める:一息の質と、接客の質

⑥ 気兼ねなく何度も立ち寄ってもらえるように、声のかけ方を変える

来た回数と対応した人が分かれば、「2回目ですね」と声をかけられ、同じ方に何度も名刺交換をお願いせずに済みます。そのために、パスのQRをブースごとに変え、誰とどんな話をしたかを端末で記録する設計にしました。

ブースの中央と右のモニターは、縦に2面並べて1つの画面として使いました。

ふだんコーヒーの映像株式会社any advisoryブース J-01・アイスコーヒー無料記帳・経理・税務をまるごと
パスのQRを読んだとき(30秒)みどり農園(架空)商品 こだわり 会社案内土からつくる、九州の野菜。創業1972年・自社農場とカット野菜工場お知らせ ・ 新工場が稼働しました ・ 展示会に出展しますみどり農園(架空)商品 こだわり 会社案内土からつくる、九州の野菜。創業1972年・自社農場とカット野菜工場お知らせ ・ 新工場が稼働しました ・ 展示会に出展しますこの会社のホームページ20みどり農園(架空)#0172回目

中央と右のモニターのデモ画面(社名・ページは架空)。ふだんはコーヒーの映像を流し、パスのQRを読むと30秒だけ、その会社のホームページと来店の回数に切り替わります。

実際は △ 想定が一部外れた
QRを読み取って「2回目ですね」と声をかけることはできたものの、誰とどんな話をしたかまでは残せませんでした。

⑦ コーヒーだけでなく、出展者の皆さんの役に立つものを

取引先の皆さんに持ち寄ってもらいました。座りっぱなしの体にストレッチバンド、急な怪我に絆創膏、出張中の衣類用洗剤、蒸し暑い会場に汗拭きシート。

実際は ◎ 非常に効果があった
とても喜ばれました。奥に置いたら手が届かなかったので、お盆に載せて渡す形に変えました。

2日間の数字は、次のとおりです。

約1,000杯
2日間でお渡ししたアイスコーヒー(読みは400杯)
168社
お立ち寄りいただいた出展者(QRで数えられた分)
107社
2回以上お越しくださった出展者

3. うまくいかなかったこと

行列ができている間は、誰とどんな話をしたかを記録する余裕がありませんでした。興味を持ってくださった方にも、ご縁のあった方々にも、十分にご説明できなかったのが心残りです。設営と撤収は、カーペット、モニターアーム3本、液体の運搬で、想像の倍は大変でした。

4. 会期中に、ツールを作り続けた

ブースの横で接客をしながら、Claude Code でバイブコーディング。デジタルサイネージも、オペレーションに合わせて会期中にどんどん直しました。

  • QRを読み取ると、その会社のホームページが画面に映る仕組みにして、出展者の広告になるようにしました。
  • 開発中のリアルタイム議事録ツールに興味を持ってくださる方が多かったので、デモを作って説明しやすくしました。
  • 商談をご希望の方とスムーズに日程を決める道具がなかったので、いただいた名刺の情報と Google カレンダーをつないで、その場で予約が取れるツールを作りました。

会期中に本番に入れた直しは11件です。

5. バイヤーの皆さんから聞いた話

バイヤーの皆さんとも話をしました。私たちが食品事業者ではなかったこともあって、本音を聞かせていただけました。

いい商品はたくさんあった。ただ、いま売上を作っている商品と入れ替えるところまで踏み切るには、もう一段の推しポイントがあると話を進めやすい。

いいものと、売れるものは、イコールではない。売れるものの知識はバイヤーが持っているので、その情報を引き出して、ものづくりに反映してもらえると取引につながりやすい。

振り返ると、私たちは今回、ゴールを決め、そこから逆算して「狙うこと」と「狙わないこと」を分けてから、届ける価値と、商品・出し方・ブースを決めていました。特に大事にしたのは狙わないことを決めることで、狙えるけれど、あえてやらないことも決めました。結果として起きたことは歓迎ですが、そのために手は打ちません。

この考え方を1枚のワークシートにして、バイヤーの皆さんの話を食品事業者の方に当てはめた例も並べてみました。

展示会の考え方ワークシート①を決めてから、②〜⑥を逆算で埋める 考える順番any advisory(今回)食品事業者なら(例・架空) ① ゴール数と、相手がどんな状態になっていてほしいか any advisory(今回) 数400杯 相手の状態出展者の皆さんから「助かった」の声をいただく 食品事業者なら(例・架空) 数(例)10社入れ替えの検討に入るバイヤー(うち試験導入3社) 相手の状態バイヤーが「今の定番より、こっちのほうが売上を作れる」と自信を持って言え、入れ替えを決めたくなっている ①から逆算して、②〜⑥を決める ② 狙うことゴールに直結することだけ any advisory(今回)
  • 全ブースに知ってもらう初日の朝のうちに
  • 何度でも取りに来てもらう1回きりにしない
  • 一息の質を上げる声のかけ方と、役に立つもの
食品事業者なら(例・架空)
  • 入れ替わる棚を持つバイヤーに会う全員ではなく、その棚の担当
  • 今の定番と比べた売上の見込みを渡す1店1日あたり何個・いくら
  • 推しポイントを1行で言い切るバイヤーが上司に通せる言葉で
③ 狙わないこと狙えるけど、やらない any advisory(今回)
  • 自社のPR一息つく場所に宣伝はいらない
  • 商談の機会を無理に作る取りに来づらくなる
結果として起きたら歓迎 「実は会計事務所なんです」から始まった会話
食品事業者なら(例・架空)
  • 来場者全員への試食列が伸びて、本命のバイヤーと話す時間が消える
  • 全商品を並べる決め手が薄まる
  • その場での値引き売れる理由ではなく、値段で選ばれる
結果として起きたら歓迎 小売店や飲食店からの直接の注文
④ 届ける価値相手にとっての体験 any advisory(今回)商談続きの合間の、ほっと一息と、バイヤーとの会話のきっかけ 食品事業者なら(例・架空)「この商品に替えたら、売上がこれだけ増えそうだ」と、その場で計算できる体験 ⑤ 形にする商品・出し方・ブース any advisory(今回)
商品
アイスコーヒー(8オンス・蓋付き)
出し方
パス1枚で何杯でも
ブース
奥の角、L字、カフェの雰囲気
食品事業者なら(例・架空)
商品
入れ替えを狙う1品に絞る
出し方
試食と一緒に、今の定番と比べた1店あたりの売上見込みを1枚で渡す
ブース
売り場の棚を再現し、今の定番と並べて見せる
⑥ 広げる施策②を加速させる手 any advisory(今回)
  1. パスを全ブースへ配りに行く
  2. カップを持ち歩いてもらう
  3. 2回目からの声かけ
  4. 役に立つノベルティ
食品事業者なら(例・架空)
  1. 会期前に、その棚のバイヤーへ案内を送る
  2. 店舗数を聞いて、売上見込みをその場で出す
  3. 会期後に、上司に通すための1枚を送る
私たちの今回の考え方を、1枚のワークシートにしたもの。「食品事業者なら」の列は、バイヤーの皆さんの話をもとにした架空の例です。

おわりに

会社として初めての展示会で、右も左も分からない中、福岡で出展する機会をいただいた福岡商工会議所の皆様に、まずお礼を申し上げます。この記事では、食品事業者ではない私たちなりに仮説を立てて、試してみたことをまとめました。

一緒に Food EXPO に出展された出展者の皆様、お疲れさまでした。ブースに立ち寄ってくださった出展者の皆様、ご来場の皆様、ありがとうございました。不慣れで至らない点があり、ご迷惑をおかけした方もいらっしゃると思います。コーヒーをお配りする中で、たくさんのいただき物をしました。重ねてお礼を申し上げます。

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