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アイスコーヒー1,000杯のブースを、どんな仮説で作って、何が起きたか|Food EXPO Kyushu 2026 出展の記録
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2026年10月6日・7日、福岡国際センターで開かれた Food EXPO Kyushu 2026 に出展しました。当日の様子は先日のお知らせに書いたので、この記事では、どんな仮説でブースを作り、実際に何が起きたかをまとめます。

1. ブースの役割を決めるまで
福岡に拠点を構えてからご縁ができた福岡商工会議所の皆さんに、「今回の Food EXPO で何か面白いことをやりませんか」と声をかけていただいたのが始まりです。会社として展示会に出るのは、今回が初めてです。先に「出る」と決めて、何をやるかはそのあとで考えました。
私たちは会計事務所です。ブースに「会計のご相談はいかがですか」と並べても、来場するのは食品のバイヤーの皆さんですから、足を止める方はまずいません。一方で、同じ会場に立つ出展者の皆さんは、朝から夕方まで商談が続いてブースを離れられません。
そこで、来場者向けの売り場はやめて、出展者の皆さんのためのブースにしました。今回は商売度外視で、自社の商談の機会を作ることは目的にしていません。
目的は2つです。出展者の皆さんがほっと一息つける場所にすること。そして、バイヤーと出展者の商談が盛り上がるアイテムを配ること。
2. 仮説と、実際に起きたこと
「認知」「アクション」「質を高める」の3段階に分けて、「ここを良くするには、この打ち手が効くのではないか」という仮説を7つ立てました。狙ってそうなったというより、仮説を持ってやってみたら実際にこうなった、という記録です。
何を出すか
① 商談が盛り上がるアイテム → アイスコーヒー
バイヤーと出展者が手に持って話せるもので、出展者のご商売と重ならないもの。コーヒーを扱う出展者はいなかったので、氷で冷やすだけで出せるアイスコーヒーにしました。
読みは400杯、実際は2.5倍の約1,000杯。すぐにお渡しできることと、思った以上の会場の熱気で、アイスコーヒーがぴったりはまりました。お菓子の出展者も多く、商材を引き立てる役目も果たせました。出展者の方からは「バイヤーさんがコーヒーを持ってブースに来てくれたので、ゆっくり商談ができた」という声もいただいています。
認知:知ってもらう
② 「コーヒーパス」を配りに行く
場所を知ってもらうと同時に、最初のご挨拶になればと考えました。開催1日目の朝に全ブースを回り、社名とブース番号を入れたパスを手渡しました。


1日目の午前中から行列ができるほど、認知は広がりました。一方で、全部のブースは回りきれず、ブースの全員に伝えることも、「1枚で何杯でも」という説明もしきれませんでした。
③ 大きめの蓋付き8オンスカップ
コンビニコーヒーのMサイズくらいの大きさにして、飲み終わるまで持ち歩いてもらい、その人自身が広告になればと考えました。
「それ、どこで?」「あそこでもらえますよ」という会話が、隣同士のブースやブースの中で実際に起きました。カップを持って歩く方がそのまま案内役になり、パスとカップで認知が一気に広がりました。
アクション:立ち寄ってもらう
④ 立ち寄りやすい場所、気楽に入りやすい空間
二方向が開いた、会場の奥の角をお願いしました。テーブルは前に出さず奥に置き、通路から中へ入ってもらうL字にしました。
どちらの通路からも入りやすく、列ができたときも、他のブースの前を塞がずに渡せました。
⑤ カフェのトンマナで、自社の紹介は最小限に
Tシャツ、カーペット、テーブルクロス、ライトまでカフェの色味にそろえました。話し方はバリスタの世間話で、自社の紹介は聞かれたときと、興味を持っていただけそうなときだけにしました。


「コーヒー屋さんですか」「どこの豆ですか」から「実は会計事務所なんです」へ自然に会話が始まりました。試食と違って、何度でも気兼ねなくコーヒーを取りに来られる空気を作ることができました。
質を高める:一息の質と、接客の質
⑥ 気兼ねなく何度も立ち寄ってもらえるように、声のかけ方を変える
来た回数と対応した人が分かれば、「2回目ですね」と声をかけられ、同じ方に何度も名刺交換をお願いせずに済みます。そのために、パスのQRをブースごとに変え、誰とどんな話をしたかを端末で記録する設計にしました。
ブースの中央と右のモニターは、縦に2面並べて1つの画面として使いました。
中央と右のモニターのデモ画面(社名・ページは架空)。ふだんはコーヒーの映像を流し、パスのQRを読むと30秒だけ、その会社のホームページと来店の回数に切り替わります。
QRを読み取って「2回目ですね」と声をかけることはできたものの、誰とどんな話をしたかまでは残せませんでした。
⑦ コーヒーだけでなく、出展者の皆さんの役に立つものを
取引先の皆さんに持ち寄ってもらいました。座りっぱなしの体にストレッチバンド、急な怪我に絆創膏、出張中の衣類用洗剤、蒸し暑い会場に汗拭きシート。
とても喜ばれました。奥に置いたら手が届かなかったので、お盆に載せて渡す形に変えました。
2日間の数字は、次のとおりです。
3. うまくいかなかったこと
行列ができている間は、誰とどんな話をしたかを記録する余裕がありませんでした。興味を持ってくださった方にも、ご縁のあった方々にも、十分にご説明できなかったのが心残りです。設営と撤収は、カーペット、モニターアーム3本、液体の運搬で、想像の倍は大変でした。
4. 会期中に、ツールを作り続けた
ブースの横で接客をしながら、Claude Code でバイブコーディング。デジタルサイネージも、オペレーションに合わせて会期中にどんどん直しました。
- QRを読み取ると、その会社のホームページが画面に映る仕組みにして、出展者の広告になるようにしました。
- 開発中のリアルタイム議事録ツールに興味を持ってくださる方が多かったので、デモを作って説明しやすくしました。
- 商談をご希望の方とスムーズに日程を決める道具がなかったので、いただいた名刺の情報と Google カレンダーをつないで、その場で予約が取れるツールを作りました。
会期中に本番に入れた直しは11件です。
5. バイヤーの皆さんから聞いた話
バイヤーの皆さんとも話をしました。私たちが食品事業者ではなかったこともあって、本音を聞かせていただけました。
いい商品はたくさんあった。ただ、いま売上を作っている商品と入れ替えるところまで踏み切るには、もう一段の推しポイントがあると話を進めやすい。
いいものと、売れるものは、イコールではない。売れるものの知識はバイヤーが持っているので、その情報を引き出して、ものづくりに反映してもらえると取引につながりやすい。
振り返ると、私たちは今回、ゴールを決め、そこから逆算して「狙うこと」と「狙わないこと」を分けてから、届ける価値と、商品・出し方・ブースを決めていました。特に大事にしたのは狙わないことを決めることで、狙えるけれど、あえてやらないことも決めました。結果として起きたことは歓迎ですが、そのために手は打ちません。
この考え方を1枚のワークシートにして、バイヤーの皆さんの話を食品事業者の方に当てはめた例も並べてみました。
- 全ブースに知ってもらう初日の朝のうちに
- 何度でも取りに来てもらう1回きりにしない
- 一息の質を上げる声のかけ方と、役に立つもの
- 入れ替わる棚を持つバイヤーに会う全員ではなく、その棚の担当
- 今の定番と比べた売上の見込みを渡す1店1日あたり何個・いくら
- 推しポイントを1行で言い切るバイヤーが上司に通せる言葉で
- 自社のPR一息つく場所に宣伝はいらない
- 商談の機会を無理に作る取りに来づらくなる
- 来場者全員への試食列が伸びて、本命のバイヤーと話す時間が消える
- 全商品を並べる決め手が薄まる
- その場での値引き売れる理由ではなく、値段で選ばれる
- 商品
- アイスコーヒー(8オンス・蓋付き)
- 出し方
- パス1枚で何杯でも
- ブース
- 奥の角、L字、カフェの雰囲気
- 商品
- 入れ替えを狙う1品に絞る
- 出し方
- 試食と一緒に、今の定番と比べた1店あたりの売上見込みを1枚で渡す
- ブース
- 売り場の棚を再現し、今の定番と並べて見せる
- パスを全ブースへ配りに行く
- カップを持ち歩いてもらう
- 2回目からの声かけ
- 役に立つノベルティ
- 会期前に、その棚のバイヤーへ案内を送る
- 店舗数を聞いて、売上見込みをその場で出す
- 会期後に、上司に通すための1枚を送る
おわりに
会社として初めての展示会で、右も左も分からない中、福岡で出展する機会をいただいた福岡商工会議所の皆様に、まずお礼を申し上げます。この記事では、食品事業者ではない私たちなりに仮説を立てて、試してみたことをまとめました。
一緒に Food EXPO に出展された出展者の皆様、お疲れさまでした。ブースに立ち寄ってくださった出展者の皆様、ご来場の皆様、ありがとうございました。不慣れで至らない点があり、ご迷惑をおかけした方もいらっしゃると思います。コーヒーをお配りする中で、たくさんのいただき物をしました。重ねてお礼を申し上げます。
展示会の出展にあたって、弊社でお役に立てることがあれば、お気軽に問い合わせフォームからご連絡ください。
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